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日本広域農林道整備機構 Japan-wide Agricultural & Rural Infrastructure Corporation
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山あいの林道を、データで守る。── 3次元測量とICT施工の現場から

人手不足が進む林道工事で、3次元データとICT建機を活用した施工管理の実証を進めています。

長野県内の山間部で進む林道改良工事の現場に、3日間入らせていただきました。急傾斜の谷を渡り、幅員4.0mの道を通す工事です。かつては測量だけで1か月を要した区間で、いま何が変わっているのか。ドローンとICT建機が並ぶ現場の一日を追いました。

朝6時、現場事務所に集まったのは作業員7名とオペレーター2名。最盛期の同種工事と比べると、現場に立つ人数はおよそ半分です。代わりに、前日に取得した点群データと、建機から上がってくる施工履歴が、事務所のモニターに並んでいます。

測量の1か月が、3日になった

この区間の測量は、ドローンによる航空レーザー測量と、地上型レーザースキャナの併用で行いました。谷が深く樹木が密なため、上空からの取得だけでは地表が見えない箇所が残ります。そこで、林道予定線に沿って地上からも計測し、両者を重ね合わせて1つの3次元モデルに統合しました。

従来の丁張り中心の測量では、急斜面に作業員が入り、水準測量を積み上げる必要がありました。この現場では、出来形の基準となる面を先にデジタルで作り、そこに機械を誘導する方式に切り替えています。作業員が斜面に立ち入る時間は大幅に減り、墜落・転落のリスクも下がりました。

測量から設計、施工、出来形管理までを同じ座標系のデータで通すと、担当者間の「解釈のずれ」が減ります。図面と現場の突き合わせに費やしていた時間が短くなり、結果として工程に余裕が生まれました。

オペレーターの仕事は「操作」から「監視」へ

法面の掘削を担うバックホウには、3次元設計データとGNSSが搭載されています。バケットの刃先位置は常に計算され、過掘り・不足がモニター上で色分けされます。オペレーターは設計面に沿って掘る作業そのものからは少し離れ、機械の動きと周囲の安全を同時に見る役割へと移りつつあります。

「以前は、丁張りを目で追いながら、経験で合わせていく仕事でした。いまは数字が教えてくれる。ただ、機械が止まる理由は数字だけでは分からないので、結局そこは人の判断です」。現場の責任者はそう話します。データは判断を置き換えるものではなく、判断の前提を揃えるものだという受け止め方です。

ただし、ICT建機の導入には初期費用がかかります。地元の建設会社にとって、台数を揃えるハードルは決して低くありません。この現場でも、全ての建機がICT対応というわけではなく、工程と費用の両面を見ながら、使う場所を選んでいます。

山の工事でデータが効く条件

平地の工事以上に、山の工事ではGNSSの受信状況が問題になります。沢沿いの深い谷では衛星が遮られ、機械の位置がずれることがあります。この現場では、携帯電話の電波が届かない区間があることを前提に、基準局の配置と作業手順を決めました。

また、土質や湧水の状況は数メートルごとに変わります。3次元データで作った設計面がそのまま最適とは限りません。施工中に得られた点群をこまめに取り込み、必要なら設計を修正する流れをあらかじめ決めておくことが、山の現場では欠かせません。

JAWRICは、こうした現場ごとの条件を整理し、標準的な手順としてまとめる作業を進めています。技術基準や手引きの整備状況は、技術・調査研究のページで確認いただけます。

データを次の世代に渡す

工事が終わると、竣工時の3次元データは維持管理の資産になります。この現場でも、完成した法面の点群と、施工時の履歴をあわせて記録しました。数年後に点検や補修が必要になったとき、同じ座標系のデータがあれば、変化を比較して判断できます。

大切なのは、データを残すことではなく、次に使う人が使える形で残すことです。ファイル形式、座標系、取得条件といった情報が揃っていなければ、データは読み取れても、活用はできません。この点は、発注者と施工者のあいだで、引き渡し時に必ず確認すべき項目だとされています。

ICT施工の普及は、省力化だけを目的としたものではありません。出来形の記録が残り、次世代の維持管理に引き継がれる。その積み重ねが、路網ストック全体を使い続けられる状態に保つことにつながります。

現場からの報告

3日間の取材を通じて印象に残ったのは、機械化が進んだ現場でも、最後は人の段取りで結果が決まるという点でした。データの取得範囲、基準局の位置、使う機械の選び方。判断の回数はむしろ増えているように見えました。

機械とデータをどう組み合わせるかは、地域ごとの条件で変わります。JAWRICは、各地の実証結果を持ち寄り、地域の実情に合った形での導入を支援していく方針です。

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