豪雨や地震によって農林道が寸断されると、集落の孤立、林産物の出荷停止、復旧資材の搬入遅れが同時に発生します。JAWRICは、被災時の初動復旧を技術面から支えるとともに、平時に災害に強い路網を計画しておくことで、被害そのものを減らす取り組みを進めています。
初動復旧の手順
災害が発生した直後は、情報が錯綜し、判断を誤りやすい状況にあります。JAWRICは、発災からの経過時間に応じて行うべき作業を整理し、市町村の災害対応を支援します。まず重要なのは、被害の全体像を把握し、通行不能区間と孤立集落の有無を確認することです。
把握した情報をもとに、緊急度の高い区間から応急復旧に入ります。ただし、二次災害のおそれがある箇所では、むやみに重機を進入させず、安全確認を優先します。当機構は、現地の状況を評価し、応急復旧の可否と工法を助言します。
| 第1段階:情報収集(〜24時間) | 被災情報の集約、通行規制状況の整理、孤立集落の有無の確認、ドローン等による空撮 |
|---|---|
| 第2段階:安全確認(〜72時間) | 崩壊地周辺の二次災害リスク評価、応急復旧可能区間の判定、進入路の確保 |
| 第3段階:応急復旧(〜2週間) | 仮設道路の構築、土砂撤去、路面の応急補修、仮設排水施設の設置 |
| 第4段階:本復旧(〜1年) | 被災原因の調査、復旧工法の検討、本復旧工事の発注・施工 |
| 第5段階:再発防止(以降) | 被災履歴の記録、設計への反映、同種箇所の点検と対策 |
※ 表は左右にスクロールできます。期間は目安であり、被害規模や気象条件により変動します。
降雨が続く間や地震後の斜面は、見た目に変化がなくても崩壊の危険性が高まっています。被災箇所へ立ち入る際は、必ず最新の気象情報と土砂災害警戒情報を確認し、単独での行動を避けてください。
農林道の通行止め情報や規制状況は、各都道府県・市町村の発表をご確認ください。当機構の技術相談窓口でも対応方針の助言を行っています。
災害に強い路網計画
復旧の速さは、被害の大きさだけでなく、路網の構成によっても変わります。1本の路線に依存している地域では、その路線が寸断されると移動も輸送も困難になります。そこでJAWRICは、複数の経路を確保する代替路網の形成を計画段階から重視しています。
代替路網の検討では、既存の農林道、林道、市町村道を接続し、ネットワークとしての冗長性を高めます。あわせて、集落と避難所、資材置場、森林作業拠点との距離を整理し、災害時に機能すべき区間を明確にします。
また、脆弱な箇所を事前に把握しておくことも重要です。過去の崩壊履歴、地すべり地形、盛土の分布を重ね合わせたハザード整理を行い、優先的に改良すべき区間を抽出します。こうした成果は、市町村の地域防災計画の見直しにも活用されます。
法面・盛土対策
農林道の被災は、切土法面の崩壊と盛土の流出に大きく分かれます。それぞれ原因と対策が異なるため、当機構は現地調査に基づいて適切な工法を選定します。
切土法面の対策
切土法面では、雨水の浸透と表層の風化が崩壊の主因となります。法面勾配の緩和、小段の設置、排水施設の整備を基本とし、必要に応じて植生工や法枠工を組み合わせます。湧水が見られる箇所では、水抜きボーリングなどで水圧を下げることが有効です。
盛土の対策
盛土では、締固めが不十分な場合や、盛土内部に水が浸入した場合に変状が進みます。良質土による段階的な盛立て、排水層の設置、法肩・法尻の保護を徹底します。既設盛土の変状に対しては、抑止工や排水工による安定化を検討します。
- 被災原因を特定したうえで、同じ原因に効く対策を選ぶ
- 排水の処理を最優先とし、水の流れを設計に織り込む
- 復旧と同時に、周辺の類似箇所の点検を行う
- 復旧の記録を蓄積し、設計基準の見直しに反映する
被災後の復旧にあたっては、単に元の形に戻すのではなく、より災害に強い形へと改良することが望ましい場合があります。当機構は、復旧工法の比較検討と、必要な手続きの整理を支援します。関連する取り組みは特集:災害対応でもご紹介しています。
災害時の技術支援
被災状況の評価、応急復旧の助言、復旧工法の検討に対応します。